刃具や工作機械は、メーカーの皆様が長年にわたって磨き上げてきた高度な技術の結晶です。設計段階や評価試験では十分な性能を確認できているにもかかわらず、実際の現場では期待した性能が再現されない、あるいは寿命や安定性にばらつきが出る、という声を耳にすることがあります。
その原因が、必ずしも製品そのものにあるとは限りません。多くの場合、加工条件や使用条件が、製品の持つ特性と十分に噛み合っていないことがあります。
切削条件、回転数、送り速度、取り付け剛性など、現場では複数の要因が同時に作用します。その結果、設計段階では想定されていなかった振動挙動が現れ、加工品質や工具寿命に影響を与えているケースも少なくありません。
しかし、これらの問題は「使ってみて初めて分かるもの」として扱われがちです。そのため、トラブル対応や条件調整が現場任せになり、原因の整理が十分に行われないまま次の製品開発に進んでしまうこともあります。
本来、製品がどのような条件で最も安定した挙動を示すのかは、設計や試作の段階である程度見通すことができるはずです。そのための手がかりの一つが、振動の振る舞いにあります。
次回は、振動解析をどのように捉え直すことで、製品開発に活かせるのかについて考えてみたいと思います。
製品開発や評価の進め方について、課題感をお持ちでしたら、まずは情報交換からでも構いません。ご関心のある方は、お気軽にご連絡ください。
【第1回】刃具・工作機械の性能は、なぜ現場で再現されないのか
